肝炎の話


A型肝炎の話

 A型肝炎は、A型肝炎ウイルスが食べ物や飲み物によって体内に侵入し急性の肝炎を起します。小児では症状が出ない感染(不顕性感染)のことが多く、発病すると発熱や軽い黄疸が現れます。しかし成人ではほとんどが38度以上の発熱、全身倦怠感、下痢、黄疸の症状を呈し、完全に治るまでには1〜2カ月の治療が必要です。まれに劇症化したり、急性腎不全になったりしますので注意が必要です。
 近年、日本では衛生環境が改善され患者が激減したため、40〜50歳以下の世代では、感染機会がほとんどなく免疫をもっていません。しかし、世界では途上国を中心にA型肝炎の流行があり、流行地に渡航する前にはワクチンを接種して、免疫(抵抗力)を獲得しておくことが望まれます。


B型肝炎の話

 B型肝炎は、B型肝炎ウイルスを持っている人(キャリア)の血液の輸血、不特定多数の血液に接する機会が多い医療関係者等が感染を受けやすい病気です。また、ウイルス保有者との性行為等で感染します。
 通常、成人がウイルス感染を受けると、約30%が急性肝炎を発病し、2〜3カ月は治療を要し回復します。しかし、極めてまれに劇症肝炎へと進展する場合があります。
 一方、母親がB型肝炎ウイルスキャリアであると、分娩時に感染した新生児がウイルスキャリアになることがあり、成人になって肝炎、肝硬変、肝癌へと進展することもあります。母子感染防止の目的で、生後B型肝炎ワクチンと抗HBs人免疫グロブリン(HBグロブリン)を投与することで新生児への感染を防ぐことができます。現在はこの成果が実りつつあり、ウイルスキャリアが減少しています。
 また、配偶者となる方がキャリアと分かっている場合には、結婚前にワクチンを接種してかからないようにすることも必要です。


A型肝炎ワクチン

 A型肝炎ワクチンの接種方法は、しっかり免疫をつけるためには1回目から4週間後、更に24週間の間隔をあけて筋肉(10歳以上)又は皮下に3回接種します。海外渡航などで時間がないときには1回目から2週間ないし4週間の間隔で2回接種し、帰国後3回目を接種しましょう。日本では16歳以上の人しか接種ができません。


B型肝炎ワクチン

B型肝炎の場合も1回目から4週間後、そして1回目から24週間(約5〜6カ月)の間隔をあけて3回目を接種します。10歳以上は0.5mL皮下又は筋肉接種、10歳未満は0.25mLを皮下に接種します。成人が接種する場合事前にHBs抗原とHBs抗体の検査をすべきでしょう。HBs抗原が陽性(ウイルスキャリア)であればウイルスがすでに体内に存在し、治療について医師との相談が必要です。HBs抗体が陽性の場合にはすでに免疫が存在し、ワクチンを接種する必要はありません。HBs抗原とHBs抗体のいずれもが陰性の方が、B型肝炎ウイルスの感染を防止するために予防接種します。
 妊婦がキャリアの場合(HBs抗原陽性)には母子感染防止の目的で健康保険による接種が施行されます。分娩直後にHBグロブリン、生後2カ月目にHBグロブリンとB型肝炎ワクチン。3カ月、5カ月に2、3回目のB型肝炎ワクチンを接種して母親からの感染を防止します。
 また、B型肝炎ワクチンは事故で感染力の高いウイルス(HBe抗原陽性)の汚染を受けた直後にHBグロブリンを投与し、続けてワクチンを接種(直後、1、3〜6カ月の3回)する事でB型肝炎の発病を抑えることができます。この場合にはワクチン費用は業務上は労災保険又は業務でなければ健康保険の適応になります(下の図を参照してください)。
種類 接種 備考
対象年齢 回数 間隔 接種量 方法
B型肝炎 (1)HBs抗原陽性の母親から生まれたHBs抗原陰性の乳児 1) 3回 通常生後
2,3,5ヵ月
各0.25ml 皮下 ・(1)では出生直後(できるだけ早く、遅くとも48時間以内)と生後2ヵ月にHB免疫グロブリンを通常1ml筋注 2)
ただし、Hbe抗原陰性の母親から生まれた児の場合は2回目のHB免疫グロブリンを省略してもよい。
・必要に応じ追加接種行う
(2)ハイリスク者
医療従事者、腎透析を受けている者、海外長期滞在者など
3回 1ヵ月間隔で2回、その後5〜6ヶ月後に1回 各0.5ml
(10歳未満の小児は0.25ml)
皮下
1) 母親がHBs抗原陽性の場合は、健康保険適応。
2) 新生児に対する筋注の部位は、大腿前外側(上前腸骨棘と膝蓋骨を結ぶ線の中点付近で、これより内側<脛側>には片寄らない)に行う(日本小児科学会雑誌 90:415,1986)。


ワクチンの副反応

 A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチンの主な副反応は注射部位のあかみ、はれ、しこりや全身反応としての倦怠感、頭痛などであり、発現頻度は5〜10%程度です。ほとんどが無処置で数日中によくなります。




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