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| 肺炎球菌は免疫のはたらきが十分でない、乳幼児や高齢者に様々な病気を引き起こします。肺炎球菌によって起こる主な病気には、肺炎、気管支炎等の呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎、菌血症などがあります。本来であれば菌が検出されない場所(血液や脳脊髄液など)から菌が検出される病態(髄膜炎、菌血症など)を特に侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)と呼びます。侵襲性肺炎球菌感染症は5歳以下の乳幼児と65歳以上の高齢者に多く発症することが知られています。また、細菌による感染症はペニシリンなどの抗生物質により治療しますが、近年は抗生物質が効かない薬剤耐性菌が増えているため、治療が困難になっているという問題があります。そこで、ワクチンにより、病気をあらかじめ予防することが以前にも増して大切になってきています。現在、肺炎球菌感染症を予防するワクチンとしては、2歳以上で肺炎球菌疾患にかかるリスクが高い人および高齢者を対象とした23価肺炎球菌多糖体ワクチンと、9歳以下の小児を対象とした7価肺炎球菌結合型ワクチンの2つが発売されています。
接種対象者は、2歳以上で肺炎球菌による重い疾患にかかる危険が高い次のような人です。個人差がありますが、1回の接種で5年以上の効果が期待できます。 ・高齢者 ・脾臓の摘出手術を受けた人(保険適用あり) ・鎌状赤血球疾患、その他脾臓機能不全である人 ・心疾患・呼吸器疾患の慢性疾患、腎不全、肝機能障害、糖尿病、慢性髄液漏等の基礎疾患がある人 ・免疫抑制の治療を予定されている人(治療まで14日以上余裕のある人) なお、初回接種から5年以上経過した肺炎球菌による重い疾患にかかる危険性が極めて高い方やワクチンによる抗体濃度が急激に低下する可能性のある方は、再接種の対象者となっています。ただし、1回目に注射した後、5年以内に再接種をした場合は、注射した部分が硬くなる、痛む、赤くなるなどの症状が強く出ることがあるので、再接種の際は必要性を考慮し十分な間隔を空けるなど注意が必要です。 【副反応】 接種後に注射部位の腫れや、痛み、赤みなどがみられることがあります。また発熱や筋肉痛などがみられることもあります。これらの反応は通常3日以内に自然に消失します。
2歳以下の小児では免疫のはたらきが未熟なため、肺炎球菌の多糖体に対して抗体をつくることが難しく、多糖体ワクチンを接種しても十分な免疫をつけることが出来ません。そこで小さな子どもにも免疫をつけられるように工夫されたのが7価肺炎球菌結合型ワクチンです。多糖体に、ジフテリア菌がつくる無毒化されたタンパク質(トキソイドといいます)を結合させることで、2歳以下の小児にも多糖体に対する抗体を作ることが可能になりました。また、小児の侵襲性肺炎球菌感染症を起こす菌の約80%をカバーできるという報告があります。 このワクチンは、7種の血清型の肺炎球菌による侵襲性肺炎球菌感染症の予防に用いられます。接種の対象となるのは、2ヶ月以上9歳以下の小児で、標準として2ヶ月以上7ヶ月未満で接種を開始します。接種回数は以下のように年齢により異なりますが、1回0.5mLを皮下に注射します。 ■2〜6ヶ月齢で接種を開始した場合 初回免疫:27日間以上間隔で3回接種し、3回目の接種は12ヵ月齢未満までに完了する。 追加免疫:3回目の接種から60日以上の間隔をあけて、12〜15ヵ月齢の間に行う。 ■7〜11ヶ月齢で接種を開始した場合 初回免疫:27日間以上間隔で2回接種する。 追加免疫:2回目の接種から60日以上の間隔をあけて、12ヵ月齢以降に行う。 ■12〜23ヶ月齢で接種を開始した場合 60日以上の間隔をあけて、計2回接種する。 ■24ヶ月齢〜9歳で接種を開始した場合 1回のみ接種する。 【副反応】 接種後に注射部位の腫れや、痛み、赤み、発熱が見られることがあります。また、乳児では普段よりむずがる、普段より眠そうだ、などの変化がみられることもあります。接種ごとにこのような副反応がみられることがありますが、ほとんどの場合、特に治療を必要とせず回復することが知られており、海外での多数の使用経験からも、安全に接種できることが確認されています。 |